身に着けると
自然と気が引き締まる
勝負時計
メルセデス・ベンツ日本は今年1月、8年ぶりに全面改良したフラッグシップモデル「Sクラス」の発売を開始した。そのオンライン発表会に臨んだ同社の代表取締役社長兼CEOの上野金太郎さんの腕には、フランク ミュラーのトノウ カーベックス フライング トゥールビヨンが巻かれていた。
「新車の発表会や協賛しているプロゴルフトーナメントの表彰式など、ここぞという時には必ずこの時計を身につけることにしています。いわば、私の勝負時計です。現在ボリュームのあるデザインが主流のなか、薄くて邪魔にならず、シャツの袖にもスッと収まるのでとても気に入っています。コロナ禍でラフな服装で過ごすことも多くなりましたが、スーツを着てこの時計をつけると背筋が自然と伸びて、気が引き締まる思いがします。またこの時計のおかげで、時計好きの人から声をかけられることが多く、会話の糸口にもなっていますね」
ユーザーの心を揺さぶる
機械式のロマン
それでもその時計を手に入れようとしたときは、本当に自分にふさわしい時計なのか逡巡したという。
「2015年の社長就任3年目の節目に、周囲の助言もあり、いいものを選びたい、と思ったのが購入のきっかけです。しかし、その当時の私にはまだとても身分不相応な時計でした。一方で、私は普段からメルセデスの購入をまだ早いと躊躇されているお客様に、車と一緒にお客様自身も成長するモチベーションになりますよ、とお話しすることがあります。時計選びも同じで、今の自分とこれからの自分を比較しながら、ちょっと背伸びしたくらいの時計を選ぶのがちょうどいいと思って、この時計に決めました」
2022年に迎える社長就任10年目の節目に向け、次なる勝負時計を求めて気になっているのは、同じフランク ミュラーのヴァンガードだ。
「オープンワークで7日間パワーリザーブというテクノロジーが詰まっているところに、自動車を扱っている身としては心が惹かれます。車は走る、曲がる、止まるが基本動作ですが、時計では正確に時間を刻むということになります。そこにテクノロジー、デザイン、革新性をプラスすることがユーザーの心を揺さぶる重要な要素で、この時計にはそれらの要素が詰まった、デジタル時計にはない機械式のロマンが感じられますね」
脈々と流れる
イノベーションのDNA
ヴァンガードはアバンギャルドという言葉が由来となっており、革新性が重要なテーマになっている。それはメルセデスの哲学とも共通するところだ。
「メルセデスでは『最善か無か』という言葉が車づくりの思想の中核となっており、技術はその時代における最高のものでなくてはなりません。それが車を発明した会社としての使命であると思っています。フランクミュラーもこれまで30以上の世界初の機構を開発していますし、イノベーションを繰り返して時計業界をリードしてこられたブランドです。ヴァンガード 7デイズ パワーリザーブ スケルトンもそのイノベーションのひとつであり、デザイン、性能、パッケージングが見事に調和した完成度の高さを感じます。未来を切り拓く車として発表した新型Sクラスと、多くの共通点がありますね。」