The Time for Two フランク・ミュラーだけの、贈り、贈られる喜びがある。
CASABLANCA:異国の地への情景を刻みつつ、旅の想い出まで、二人の手首に遺す。
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海辺も、街並みも紅く染まり、夕景の気配が濃くなる頃。狙い通りの時間帯に到着したのは、港町のリゾートホテル。グラナダを出て、コスタ デル ソルと呼ばれる、文字通り、太陽が降り注ぐ地中海沿いの整備された道を一気に走りきり、気になるバルやカフェには脇目もふらず、スペイン最南端に近い、ここアルヘシラスまでやってきた。

長い距離のドライブにしては、二人とも疲れてはいない。まだ100キロでも200キロでも走り通せる、と、彼女の笑顔も物語っている。それほどに、スペインでのドライブは心地良い。彼らは、飛ばすことは飛ばすのだが、イタリア人のそれとも似て、ステアリングさばきは巧みなので、こちらも流れを掴みやすく、走らせるのが快感ですらある。

アルヘシラスの丘に建つリゾートホテルからは、対岸に突き出たジブラルタルが間近に見える。ジブラルタルと言えば、地中海の出入り口を抑える要衝であり、そのため、いまだに英国の海外領土でもある。それだけ、ヨーロッパ大陸とアフリカ大陸の間にある狭い海峡は、古代より、地理的に重要な意味を持っている。この日も、ジブラルタル海峡越しに、アフリカの赤茶けた低い山並みを見晴らすことができ、なぜか、心が躍る。

アルヘシラスには、大きな埠頭があり、対岸のモロッコや、モロッコ国内にあるスペイン領セウタとを結び、大型フェリーが発着。ターミナルには、ヨーロッパの各都市から到着したばかりの大型バスが、薄汚れたまま、アフリカへ渡る前の休息をとっている。

グラナダのアルハンブラ宮殿で、イスラム文化を強く感じたおかげかもしれない。突然、モロッコへ行くことを思い立ち、アフリカを見晴らす港町まで飛ばしてきた。フェリーに乗れば、いよいよ、モロッコのタンジェである。まずは、カサブランカまで南下し、その後、フェスへ。さらには、サハラ、マラケシュと巡ることになる。二人だけの旅は、いつも、こんな具合に始まってしまう。おかげで、このときのモロッコの体験を鮮明に記憶しておくため、フランク ミュラーのカサブランカが二人の手首にある。

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カサブランカ

ヨーロッパでは、世代を超え、アフリカへの憧憬が強いという。この想いをエキゾチックなモデルに映したのが、あの天才時計師。二人の手首で、旅の記憶を語り続ける。

モデル創作へのインスピレーションを受け、名前の由来ともなったのは、名画としての誉れも高い映画『カサブランカ』。フランク ミュラー初の、ステンレススティール モデルの登場である。ゴールドよりも傷つきにくいタフなケースは、サハラ砂漠の舞い上がる砂塵からもメカニズムを保護。さらに、街路灯のない真っ暗な夜道でも視認性を確保する蓄光塗料を施した文字盤は、敢えて紫外線から保護するためのUV処理加工を施さず、使い込むほどにエイジングされ、風合いのある文字盤となります。また、ロウ引きされたステッチがアクセントになり、アフリカの酷暑にも負けない耐久性のあるカーフベルトを装着。徹底して持ち味にこだわったモデルは、生涯の友ともなる存在ではないでしょうか。

FRANCK MULLER Story
“時の発想”から感動を受け、感動の連鎖を繰り返す。
FRANCK MULLER Story 01
トゥールビヨン

トゥールビヨン

フランク ミュラーの功績は、その昔、ポケットウォッチ/懐中時計の時代に考案された超複雑機構を腕時計に組み込んだことです。超複雑な機構を搭載した機械式時計を、敬意を込めてグランドコンプリケーションと呼びますが。彼にとってのグランドコンプリケーションは、トゥールビヨン、パーペチュアルカレンダー、そして、ミニッツリピーターといった超複雑機構を搭載したモデルか、あるいは、これらの機構を複数搭載した腕時計を指しています。

FRANCK MULLER Story 02

フランク ミュラーは、圧倒的な品質を届けるためのブランドとして、幾つかの複雑な機構を、いかに小さなムーブメントに組み込むことができるか、という崇高な目標のために絶え間のない挑戦を続けてきました。1983年、彼は、超複雑機構を腕時計に搭載するという想像もしなかったコンセプトを打ち出し、世界中の時計愛好家を驚かせました。なかでも、彼が新たに発明し、開発したトゥールビヨンは、それまでの時計史を塗り替えるほどの画期的なシステムで、この発明によってトゥールビヨンの製作方法に目覚ましい進歩をもたらしたことは、今では、時計界の語り草となっています。

初めてトゥールビヨンが発明されたのは、約200年前、置時計がポケット・ウォッチへ移行した時代でした。それまで、持ち歩くことのなかった時計ですが、ポケットなどに入れて持ち歩くようになり、おかげで、斜めであったり、逆さまであったり、あるいは、裏返しであったり、いろいろな状況で時計本体が使われるようになってしまったのです。機械式時計が、精度に狂いを生じてしまう原因のひとつに、このような姿勢の変化による、姿勢差と呼ばれるものがあります。つまり、時計をポケットなどに入れて持ち歩くようになると、つねに姿勢が変化してしまうため、心臓部である機械式ムーブメントにかかる地球重力の方向も変化してしまい、時計の精度そのものも狂ってしまうのです。

そこで、できるだけ姿勢差による精度の狂いを安定させるために発明されたシステムが、画期的なトゥールビヨンというわけです。トゥールビヨンは、特異な存在とも言えるほど精巧にして驚異的なほど複雑な機構で、機械式時計の数あるメカニズムのなかでも最高峰に位置するもののひとつです。

では、トゥールビヨンとは、どんな機構なのでしょうか。それは、地球上の重力の影響によって生じてしまう精度の狂いを自らの機構で補正することのできる特殊な装置です。装置を構成する基本としては、通常の機械式時計では固定されている、がんぎ車やアンクル、そして、振り子の役目を担うテンプという部品を特殊なケージ/籠に納め、ケージそのものを回転させながら、同時に固定された歯車をも駆動させ、それぞれのパーツにかかる重力を平均化し、姿勢による精度の狂いを解消します。

FRANCK MULLER Story 03

トゥールビヨンとは、フランス語で“渦”を意味する言葉です。ちょうど、部品を納めたケージ/籠が回転する様子を、“渦”の動きのように感じたことから名づけられたようです。ただし、トゥールビヨンが発明された1800年代には、極めて高度な技術を持った一部の時計師だけしか製作することができなかったため、一般には普及しませんでした。

しかし、フランク ミュラー ウォッチランドでは、現代の天才時計師が、腕時計のために、これまでにない画期的なトゥールビヨンを発明し、開発したおかげで、ほぼすべてのモデルに、進化したトゥールビヨン モデルをラインナップすることができています。

フランク ミュラーは、つねに複雑な機構を創造しながら、同時に、時の支配から解放するための“時の哲学”を提案し続け、現在でも、超複雑機構を手掛けているのです。

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(さらに、次回へ続きます)

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