The Time for Two
LONG ISLAND
LONG ISLAND
LONG ISLAND

島が好きだ、と満面の笑顔で言い切る人がいる。海に囲まれている心地よさが、おおらかな感覚で満たしてくれるせいだろうか。島で過ごしていると、人は落ち着きを取り戻し、やがて鼓舞されることがある。島が、大きくても、小さくても、島は、いつも熱く、ときには風が吹き抜けていく。

島といえば、圧倒的に南の島を思い出してしまうが、それだけではない。たとえば、人が溢れ、喧噪に満ちている街の近くにも、人の気持ちに寄り添ってくれる島はある。しかも、ごく街の側にある島といえども、海が取り囲んでいて、騒々しさのなかに、静けさが巧みにバランスしている。

この騒々しさと静けさのキーとなるのが、街と島を結んでいる、大きな橋や、フェリーや、トンネルである。街へ出て、島へ帰る。この往来の瞬間の大切なスイッチの役目を果たすのが、橋やフェリー、トンネルである。

20年ほど前のある日、とても印象的な橋を越え、街に近接する大きな島へ渡った天才時計師がいた。フランク ミュラーである。彼は、20世紀初頭に築かれたと思われる橋のデザインや構造がスイッチとなり、まるで小説や映画の主人公のような、華麗なる1本の腕時計を発想したのである。

この日も、爽やかに吹き抜ける島風のなか、ある記念日を迎え、少しだけ着飾った二人がいる。彼らには、お互いの気持ちを丁寧に通い合わせるかのような、フランク ミュラーのロングアイランドが寄り添っている。

LONG ISLAND

LONG ISLAND

ロングアイランド

映画『ギャツビー』の世界に紛れ込んだような、とてもエレガントなエリアに巡り会い、誕生したロングアイランド。どこまでも優雅に、煌びやかに、二人の世界を演出する。

ロングアイランドは、2020年、誕生20周年を迎えます。あるとき、ニューヨーク滞在中のフランク ミュラーは、喧噪のマンハッタンから、旧くて大きく印象的な橋を通過し、ロングアイランドで開催される自身の展示会に向かっていました。やがて、映画『ギャツビー』の世界に紛れ込んだような雰囲気に溢れ、広大な敷地を背景にした屋敷が建ち並ぶエリアに到着したのです。印象的な橋を越え、優雅なエリアに巡り会ったおかげで、彼らしい腕時計のインスピレーションが浮かびました。それは、20世紀初頭に栄えたアール デコ様式であり、湾曲させた小振りのレクタンギュラーで、クラシカルな文字盤のロングアイランドとして結実したのです。

FRANCK MULLER Story
“時の発想”から感動を受け、感動の連鎖を繰り返す。
FRANCK MULLER Story 01

フランク ミュラーの腕時計は、機能はもちろんのことですが、身につける道具としての完成度を飛躍的に高めていることでも知られています。腕時計の存在そのものが、洗練されたスタイリングなくして、真に価値ある腕時計とは言えない、と考えているからです。

フランク ミュラー自身と時計職人たちは、彼らの非凡な閃きによって、ケースのデザインから、それを成型するための技術、あるいは、文字盤上のインデックスのデザイン、さらには、時を告げる機能を表示するための新たなスタイルまで、考え出しているのです。

「フランク ミュラーの腕時計には、フランク ミュラー自身のDNAが詰め込まれているのです。デビューした当時には、オーソドックスな腕時計を製造していた人々から、こんな腕時計はつくることはできないよ、と言われていました。ところが、不可能であると信じ込まれていたことを可能にし、世に送り出してしまうのが、フランク ミュラーの腕時計なのです」

ルネ=ピエール リッチさんは、後に『フランク ミュラー ウォッチランド』の中心となるシャトーに工房を構えた1995年頃、フランク ミュラーのデザイン担当アシスタントとして入社。その頃、新たな大きな冒険が始まるよ、とフランク ミュラー自身から言葉を掛けられたのが昨日のようだ、と語ってくれました。

FRANCK MULLER Story 02
FRANCK MULLER Story 03

「フランク ミュラーの腕時計は、複雑な機能を持っていますが、実は、文字盤の文字などは読み取りやすく考えられています。たとえば、永久カレンダーの複雑な文字盤でも、文字を大きく使用するため、新たに文字をデザインし、美しくて読み取りやすいことを心掛けています。もちろん、このコンセプトは、進化させながら、つねに守られてきています」

ある日、リッチさんは、時計を分解しているフランク ミュラーを眺めていました。ところが、組み直すと部品が残っています。すると、これがなくても動くんだよ、だからシンプルにできるんだ、と得意満面で語ってくれたそうです。

「フランク ミュラーの名が広く知られ始めた頃ですが、時計の業界では、彼はバッドボーイと呼ばれていました。でも、バッドボーイといっても、旧い時計の業界に新風を吹き込んだ風雲児という意味です。今でも、もの凄くシンプルに腕時計の在り方を考え、目指していると信じています」

だから、フランク ミュラーの発想する腕時計から感動を受け、感動の連鎖が繰り返されることを願っているのです。

René-Pierre RICCI
ウォッチランド デザイン担当 ルネ=ピエール リッチ氏のインタビューより


FRANCK MULLER Story 04

(さらに、次回へ続きます)

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