「私は、太陽が大好きで、太陽に合わせて、いろいろ動いていく人間なので、人生も夏でカウントするんです。そうなると、大好きな夏の季節を、後どれくらい、何回ぐらい過ごせるかな、と考えてしまうんです。好きな季節で数えていくと、より鮮明に時間や年齢を感じることはありませんか」
自分自身の遊び心はもちろんのこと、この遊び心を駆り立てるためのモチベーションを、とても大切にしているフランク ミュラー。このことが、現代の天才時計師とまで讃えられ、数々の腕時計づくりを発想するパワーを生み出しています。
彼の創作活動を見渡したとき、もっとも輝かしい才能を発揮していると感じさせるのは、複雑で緻密なグランドコンプリケーション機構であり、さらに、その高度な機構と技術を包み込んでいる美しいシルエットをもった腕時計ケースとの融合です。だから、『時の哲学』という独自の思想を盛り込んだ腕時計も、彼の遊び心なくしては生まれませんでした。
伝統的な技術を大切にしながらも、革新を追い求め続けているフランク ミュラー。世界初の3次元曲線を持つトノウ カーベックスはもちろん、そのトノウ カーベックスの発明からおよそ30年が経過した今、新たに進化させたカーベックスを追い求め、開発されたのがヴァンガードです。
直線と曲線とが織りなす美しさを、徹底して追求し製作。大胆で力強い厚みを曲線によって仕上げたフォルムは、金属特有の硬質な光と、ビロードのような滑らかさを併せ持っています。ウォッチランドから発信される新たなスタンダードとして、先駆的な“時のデザイン”を提唱していきます。
フランク ミュラーは、ご存じのように、スイス生まれのスイス育ちです。ところが、太陽や夏はもちろんのこと、海もボートも大好きで、遊び心をとても大切にしています。おかげで、この発想こそが、独自のクリエイティブに結実させ、斬新なモデルの魅力までをつくりだしています。
ヴァンガード レディは、これまでの女性らしさという考え方には縛られない、これからの女性の感性を積極的に導き出すために発想されたデザインです。そこには、フランク ミュラーらしい洗練されたクラシカルな印象、軽やかでフェミニンな感覚、さらには、ダイナミックで力強いスタイルまでが息づいています。この尽きることない創造力は、また、美しくバランスの取れたプロポーションを実現。さらには、奥行きをもたせた迫力のある印象ながら、柔らかな女性らしいインデックスによって文字盤を個性的な印象にまとめています。ケースとストラップとが自然な一体感を生み出すのも、ヴァンガードの特徴。ヴァンガード レディは、洒脱な大人の女性にこそふさわしい、トレンドの先駆者となるためのモデルです。
「ある日、ハッキリと風が見えるようになり、流れていく潮までもが読めるようになるの」、と、海辺に暮らす女性が、深く日焼けした笑顔で語ってくれたことがある。風が見えるようになり、潮が読めるようになるとは、いったい、どんな才能なんだろう。道具に頼るわけではなく、ちょっとしたニュアンスなど、ひたすら感覚が研ぎ澄まされていくのではないだろうか。
彼女のように、毎日、海を眺め、ときには、ボートの舫いを解き、風や潮流に揉まれながら波の上で過ごしていると、日に日に、風や潮が語りかけてくる微妙なニュアンスが感じ取れるようになるのだという。風が吹き出す瞬間はもちろん、吹いてくる方向や強さ、また、気まぐれな潮流の道筋や速度まで、小さな変化さえ読み取ることができる。だからといって、海は、静かに微笑んでいたかと思えば、突如として怒り出し、泣き出したりもする。そのことも、風が見えたり、潮まで読めるようになることと同じように、海が教えてくれる大切なことのひとつである。おかげで、髪の乱れを海風にまかせてしまい、潮風に吹かれながら海辺に立ち尽くすことが、ますます気に入ってしまうのだった。