「日常の利便性を追求していないモデルを手掛けていますが、時刻は、正確に伝えてくれます。だから、不便ではありません。なにが違うのか、と言えば、プラス アルファのなにかを伝えてくれるところなのです」
フランク ミュラーは、ただ時刻を教えてくれるだけではないところが大きな違いであり、プラス アルファまで伝えてくれるから面白い、と解説してくれます。遊び心に溢れたモデルは、見た目も面白く、ユニークなのですが、見た目の面白さだけでは駄目なのだ、とも念を押されました。
腕時計としての機能を確実に果たさなければいけないし、正確性を実現するためには、時計師としての力量も問われます。フランク ミュラーは、ジュネーブ時計学校を優秀な成績で終え、旧くて希少な時計の修復で技術を磨いてきました。そうした実績があるからこそ、遊び心に溢れたモデルでも、正確で確実な機構を備えた腕時計として機能するのです。
超複雑機構を搭載したグランドコンプリケーションとか、文字盤にランダムに配列された時刻の数字を目掛け、正時になると時針がジャンプして時を指すクレイジー アワーズとか、もちろん、ユニークなケースデザインや文字盤などが創り出すクリエイティブなアイディアなどを含め、『時の哲学』という独自の思想を盛り込んだ腕時計の数々は、フランク ミュラー自身の遊び心なくしては、決して生まれてこなかったのです。
独自の3次元曲線で構成されたトノウ カーベックスですが、そのトノウ カーベックスの創作からおよそ30年が経過し、進化したカーベックスを追い求めて開発されたのが、ヴァンガードです。フランク ミュラーの新たなスタンダードとして、先駆的な『時のカタチ』を提唱しています。
ヴァンガード バックスイングは、洒落たゴルフスタイルのために登場したモデルです。ケースおよび文字盤全体に、ゴルフボールの表面にあるディンプルを再現し、とても可愛らしく、ユニークな魅力を備えています。このモデル最大の特徴となる機能は、ゴルフプレイのために装備された、フランク ミュラーらしい機械式スコアカウンター。ラウンド毎に打数をカウントし、リセットできる機能です。ケース左サイドの上ボタンを押せば10打までがダイヤル中央の針でカウントされ、下ボタンを押せばリセットできます。また、操作するためのボタンは、プレイ中に誤ってカウントされないよう気配りされ、ケース左側に装備されています。
ヴァンガード バックスイングに組み込まれたムーブメントは、すべてフランク ミュラー ウォッチランドで組み立てられています。おかげで、機械式時計の伝統を受け継ぎつつ、熟練の職人による丁寧な仕上げが施され、天才時計師ならではの遊び心と機能性を融合。ゴルフスタイルまでもが、フランク ミュラーならではの『時の哲学』を感じさせてくれます。
洗練されたスタイリングを備えていなければ、腕時計の存在そのものが、真に価値ある腕時計とは言えません。機能ばかりか、身につける道具としての完成度まで飛躍的に高めているのが、フランク ミュラーです。
人気の高いスポーツとしてゴルフがあるが、いったい何処で誕生したのだろうか。定説すら判明していないことが不思議だが、スコットランド発祥説が、一般的には知られているのではないだろうか。続いて、オランダで発祥しスコットランドに伝搬した説が有力で、以下、北欧説、フランス説、古代ローマ帝国説などが続き、意外にも、中国説などまである。
発祥の地には、いろいろな説があるが、ゴルフが発展し、近代スポーツとなったのがスコットランドであったことは間違いないようだ。その理由として、1457年頃、スコットランド王国国王ジェームズ2世によってゴルフ禁止令が発令され、残された記録が、ゴルフ関係の記述としては最古のものだと判明しているからだ。禁止令は、ゴルフ人気の高まりとともに、国王の家臣たる貴族たちが武術の鍛錬などを怠ったため、発令されたらしい。
近代ゴルフのための礎となったルールは、スコットランドのセント アンドルーズで誕生した最古のルールを明文化したものだと伝えられる。1754年のことだと記録されているが、この頃、すでにポケットウォッチ/懐中時計は普及していたはずである。ということは、当時のゴルファーは、懐にポケットウォッチを偲ばせ、コースをラウンドしていた可能性もある。
現代のゴルフコースでは、腕時計をつけてプレイしているゴルファーは少数派ではないだろうか。スイングのバランスを崩さないようにとか、ボールを打った瞬間の衝撃が機械式時計に与える影響とか、いろいろな理由が想定できる。しかし、上質なスタイルを目指し、実践しようとするゴルファーにとっては、ゴルフとともにフランク ミュラーの世界感を満喫できる、遊び心に溢れたヴァンガード バックスイングが用意されている。