MASTER CALENDAR
MASTER CALENDAR

ヒストリカルな軽飛行機を操り、ノスタルジックなフライトを堪能する。時代遅れだね、という声が聞こえてくることもあるが、電子機器満載のコクピットでは味わえない、何物にも代えがたい、操縦席の隅々にまで独特の空気感が溢れている。操縦桿やペダルは、もうカラダの一部になってしまっているようだ。

インストルメントパネルだって、アナログ式の計器で埋め尽くされている。それぞれの計器が、機体の姿勢、高度、速度、エンジン、ナビゲーション、通信など、要素は多く複雑だが、愛機の状況を的確に、素早く教えてくれる。もちろん、徹底して安全性を確保し、心地良いフライトを続けるためである。

かつて、パイロットたちのための腕時計は、読み取るための数字や針が見やすく、視認性の高い文字盤が必須であった。また、皮革製手袋を装着して操縦するため、腕時計のリューズも大きめの回転しやすいものを装備していた。つまり、実用的で、シンプルで、シャープなデザインが採用されていたのである。

現在、愛用の腕時計も、見るからに、ヒストリカルで、ノスタルジックな雰囲気に溢れている。飛行中でも、上空からの眺望を楽しみつつ、インストルメントパネル上の計器をチェックし、さらに、自らの腕に視線を転じても、違和感はない。馴染みやすい文字盤は、時刻もカレンダーも、素早く読み取れる。

コクピットに並んで収まっている二人は、フライトを満喫するため、トノウ カーベックスとビザン数字のコンビネーションで揃えることにしている。

マスターカレンダー
マスターカレンダー
Mマスターカレンダー

トノウ カーベックス マスターカレンダーは、日付、曜日、月という3種類のデータを、それぞれ個別に文字盤に表示するトリプル カレンダーである。

トリプル カレンダーによる表示は、ノスタルジックな表示方法を採用している。日付けは、専用の針によりビザン数字のインデックス内側に配置された日付を指し示すポインターデイトによって、曜日と月は小窓によって、知らせる。

独特のフォルムで魅せるトノウ カーベックスは、フランク ミュラーでなければ発想できなかったケースデザインである。平面的なトノウ型とは異なり、3次元曲線による立体的なフォルムで、腕時計ケース全体が球体の一部になっているようなイメージで創作。しかも、文字盤、裏蓋、針、サファイアガラスまで、ケース全体のフォルムとバランスを取りつつ、正確に仕上げる必要があり、極めて緻密な工作技術が求められる。そして、フランク ミュラーが、トノウ カーベックスのために考案したのがビザン数字。時刻の視認性を考え、数字を大きくしながら文字盤とのバランスに配慮し、スタイリッシュにデザインしている。

クラシカルな気品を漂わせるトノウ カーベックス マスターカレンダーは、魅惑的なケース形状やビザン数字とともに、大人にこそ相応しい逸品として、これまでも、これからも、腕時計愛好家たちを魅了し続けることは間違いない。

Special Thanks : Japan Aviation Academy

FRANCK MULLER Story “時の哲学”を授かった背景には、まず、閃きがあり、究極の技と叡知がある。
卓抜した発想と技術力が、フランク ミュラーを生み出している。
FRANCK MULLER Story 01

『フランク ミュラー ウォッチランド』にある工房セクションは、レマン湖とモンブランを一望できるシャトーのなかにあります。もともと、この地には、1900年代初頭、貴族が住居としていたというシャトーが建てられていましたが、このシャトーの外観デザインを丁寧に踏襲した建物を何棟か増築し、建物を含む素晴らしい景観を維持しながら、まったく新しい空間へと進化させているのが、『フランク ミュラー ウォッチランド』です。偶然ですが、このシャトーには、1920年、日本の農学者であり教育学者であった新渡戸稲造が、当時の国際連盟事務次長に就任した際、しばらく滞在していたと伝えられています。国際連盟の本部は、このとき、ロンドンからジュネーブに移されたところでした。

さて、今回は、『フランク ミュラー ウォッチランド』の開発研究部門についてお話ししましょう。この部門では、技術者とデザイナー、そして、マイクロ メカニックスと呼ばれる緻密なメカニズムを考えるチームが、腕時計用ムーブメントのアイディアを練り上げています。つまり、腕時計の心臓部を考えるセクションです。ここに所属するスタッフたちの言葉を借りれば、こんな印象です。

「人生でいちばん情熱を燃やすのは、完全無欠なものを探求することです。腕時計を想像することで言えば、機械式ムーブメントのバリエーションを無限に考え出せるようにする情熱であり、また、組み上げられた機械式ムーブメントが鑑賞に堪えるほど美しいものになるように追求することでもあるのです」

実は、フランク ミュラーの名前を冠して登場する腕時計のほとんどが、まず、この開発研究部門で手掛けられます。時計として発表できるかどうか、信頼性に問題はないか、すべての吟味とチェックが、この部門で実施されます。

この開発研究部門に所属する技術者が、とても誇らしげに問いかけてくることがあります。

「コンプリケーション ウォッチ/複雑時計のムーブメントには、求める機能によっては、1000個以上ものパーツが必要なケースもあるのですが、ご存知でしたか?」

ただ、複雑時計のムーブメントは、平均すると約300個から500個のパーツで製作されています。さらに、新しいムーブメントの構想には、数年以上もの時間を必要とすることもあり、あらゆるパーツのために数多くのテクニカルなデザイン画が描かれます。そして、熟練の時計師によって、約3カ月もの膨大な時間を費やし、プロトタイプが組み立てられているのです。

ご存知のように、フランク ミュラーの腕時計は、他の腕時計とは明らかに一線を画した存在です。腕時計愛好家たちは、フランク ミュラーの腕時計が、いくつかの個性的な部分によって特徴づけられていることを高く評価しています。愛好家たちは、自分の腕におさまっているフランク ミュラーが、レバーやぜんまい、ブリッジなどのパーツによっても、素晴らしい緻密な世界を創り出していることを理解しています。ひとつひとつのパーツの美しいシェイプを通し、美術作品のようなフランク ミュラーの腕時計に彼自身の署名がしてあるのは高級品の証しであり、しかも、その署名は外部からでは気づくことのできない部分にまであるからです。

フランク ミュラーの功績は、懐中時計のために考案された複雑機構を腕時計に組み込んだことです。高い品質を誇るブランドとして、多くの複雑な機構を、いかに小さなムーブメントに組み込むことができるか、という崇高な目標のために絶え間ない挑戦を続けてきました。最大の偉業は、トゥールビヨン、ミニッツリピーター、パーペチュアルカレンダーという3つの機構を精巧なマスター コンプリケーションとして完成させ、1個の腕時計に搭載したことです。

FRANCK MULLER Story 02
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