本棚の前で、なぜか、もう30分ほど背表紙を睨み続けていた。どうしても確認しておきたい情報が、何処かに書いてあったはずだ。ただ、タイトルはもちろん、著者の名前すら、確かではない。危なっかしい記憶を頼りに、何冊か、引っ張り出してみた。自信はないが、なんとなく目的に近いタイトルを背表紙に見つけ、表紙を開いた。アッと思う間もなく、何かが滑り落ちた。拾ってみると、懐かしさに溢れたモノクロームの写真だった。探していたのは、本に書かれていた内容ではなく、この写真だったのかもしれない。そこには、2人の若い女性の笑顔があった。
写真の背景には、緩やかな起伏を貫くように1本の舗装路が走っていた。腕の確かな女性2人が、父親のオープン ツーシーターを借り出し、卒業旅行を兼ね、ちょっとしたグランドツーリングを気取ったときの1枚である。果たして、シャッターを押してくれたのは、誰だったか。絶好のタイミングで、同じパーキングに入ってきた若いドライバーだったかもしれない。キリッと結わえている2人の長い髪も、羽織っているウインドブレーカーも、もちろん、このときのために新調したドライビンググラブも、トップを開けたツーシーターの雰囲気に素敵にマッチしていた。
季節は、早春だった。2人の女性は、意志の強そうな、整った表情をしていた。早い春の風を切って山道を走ってきたせいか、頬のあたりが、少し硬かった。でも、思う存分、精緻なメカニズムを搭載したツーシーターを駆使してきた悦びが、写真の笑顔からも十分に感じ取ることができた。時代は、まだデジタルカメラではなかった。それでも、このモノクロームの紙焼きは、微妙なニュアンスまで伝えていた。そう、何年振りになるのだろうか。2人の旧友は、この写真と同じ場所にツーシーターで出かける計画を思いついたようだ。腕だって、2人とも、まだ鈍っていない。
メカニズムを愛し、使いこなすことにかけては、誰にも負けないという2人の女性。彼女たちの腕にこそ相応しいのは、ヴァンガード レディ ハート スケルトンではないだろうか。ヴァンガード レディらしい、大胆さと優雅さを兼ね備えるケースフォルム、さらには、文字盤を取り除くスケルトン加工でダイナミックな印象を際立たせるタイムピース。6時位置に配されたスモールセコンドは、時を刻む手巻きムーブメントを鑑賞する、というレディースウォッチへの新提案でもある。美しいムーブメントの細部まで味わい、メカニズムに秘めた想いを感じ取ることができる。
5002SQZC7HJCOL OAC/Heart to Heart “trésor” Color Dreams
現代の天才時計師と称えられるフランク ミュラーは、数々の複雑な機構を発表していますが、時を魅力的に表現するための感性も備えています。たとえば、笑顔が弾ける幸せな瞬間は、色に溢れ、鮮やかであるはずだと信じ、文字盤の盤上をカラフルに彩ったビザン数字が踊るカラードリームを発想。時刻を知らせながら、息を呑むような色使いは、思い切って、大胆に人々を和ませ、心豊かな気持ちにしてくれます。腕時計全体を華やかに盛り上げることはもちろん、まるで、パーティー会場に溢れる笑顔とか、笑い声や話し声まで聞こえてくるかのような印象も与えてくれます。こうした時の表現は、ハート トゥ ハートへ受け継がれ、可憐なハートマークをインデックスに配し、情熱や愛情など、大切な人への愛おしい気持ちを紡ぎ出しています。さらには、色彩に満ち溢れた幸せな時と、愛おしい気持ちを創造する時が重なり合い、ハート トゥ ハート “トレゾ” カラードリームとして登場。やはり、カラフルなビザン数字によるインデックスのひとつをハートマークにし、より愛おしさを印象づけながら、また、文字盤には、光の加減によって浮かび上がる、透かし文字によるビザン数字まで施しています。 時を知り尽くし、時を遊ぶ、フランク ミュラーによる“時の哲学”は、このような華やかな境地も披露してくれます。
Location of Photo Shoot :
FUJI SPEEDWAY HOTEL