深夜から早朝まで、連日、キーボードを叩いている。取り引きのあるオフィスは、すべて海外。しかも、すべて異なるタイムゾーンに所在し、それに合わせる日々が続く。今どき、このビジネス至上の環境は希である。希であると自覚はしているが、自分で選んだ職業である。しかし、限界も感じる。タイミングを見計らって、液晶画面とキーボードの前から脱出したい。それが、先決である。まずは、エアラインのアプリを開き、空席のあるフライトを探す。24時間以内に飛び出せれば、どこでも構わない。念のため、無線LANの繋がる場所であれば助かる。
休暇を宣言し、確保する。一刻も早く、テイクオフする機上の人となることを目指す。ただ、新たに渡航許可などを取得する必要があるか、または、すでに取得している渡航許可が有効かどうか。取り急ぎ、確認する。日常的な業務からの脱出が目的だから、カジュアルで、軽い服装だけで過ごせる場所を選びたい。できれば、昼間だけでも、Tシャツと短パンだけだと嬉しい。そうなると、南の島へのフライトだ。運悪くハイシーズンだが、見つかると嬉しい。贅沢を言えば、食事の美味しい島だと、もっと嬉しい。幸運にも、ある南の島への空席が見つかった。
脱出計画は、意外にもスムーズであった。追われっぱなしの仕事からの逃避だが、真夏のハイシーズンに南の島を目指すなんて、とも言われた。しかし、フライトも、居心地の良さそうなホテルも見つけることができた。思いつきにしては、上出来のスタートである。出発時刻までの余裕を優先し、早めに空港に向かい、ラウンジで時間調整し、機上の人となる。テイクオフする瞬間が、最高だ。済ますことのできなかった取り引きだけは、目的地で対応する。ときどき相手のタイムゾーンを確認しながら、チラッと液晶画面をチェックするだけで済ませたい。
目的地には、日付が変わってから到着。いつもならば、忙しくキーボードを叩いている時間帯である。もちろん、この旅には、ヴァンガード マスターバンカー スケルトンが帯同している。頼もしいことに、3個所の異なるタイムゾーンの時刻を表示することができ、相手のビジネスアワーを瞬時に読み取ることができる。しかも、このマスターバンカー、スケルトン仕様である。独自の複雑機構を眺め、満喫できる。マスターバンカーならではの独創的な時計づくり、さらには、ヴァンガードの現代的な造形美が、フランク ミュラーの真髄を堪能させてくれる。
V45MBSCDT 5NOR/Vanguard Master Banker
マスターバンカーは、「瞬時に世界の金融市場の時刻が読み取れる腕時計が欲しい」という、フランク ミュラーの友人でもある、ある銀行家のひと言があり、発想しました。彼の希望に応え、1996年、フランク ミュラーは、1個の自動巻きムーブメントで3個所の異なるタイムゾーンの時刻を表示できる腕時計を創作したのです。マスターバンカーは、12時側と6時側に設けられている独立したインダイヤルを駆使し、3個所のタイムゾーンを表示できるばかりか、時刻を分の単位まで正確に合わせることができます。しかも、それぞれの時刻の調整や設定は、すべて1本のリュウズで行うことができるという、とても使いやすい機能まで備えているのです。だから、マスターバンカーは、世界の金融市場の時刻を知りたい銀行家ばかりか、世界を駆け巡るビジネスマンや旅行者にも、便利で優れたトラベルウォッチとして愛用されるようになりました。このような発想によるタイムゾーンの表示機構は、複雑な機構を知り尽くしたフランク ミュラー独自のもので、永い機械式時計の歴史のなかでも初めて実用化された画期的な機構でもあり、特許として登録しています。つねに使い手にとって最高の存在となるよう、独創的なアイディアと緻密な作業で最善を尽くす。ヴァンガード コレクションにラインナップされたマスターバンカーも、また、フランク ミュラーの時計づくりの基本的な精神である、“時の哲学”によって生み出されているのです。
Location of Photo Shoot :
FUJI SPEEDWAY HOTEL