The Time for Two フランク・ミュラーだけの、贈り、贈られる喜びがある。
CASABLANCA:異国の地への情景を刻みつつ、旅の想い出まで、二人の手首に遺す。
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二人だけで過ごす時間が、とても気持ちよいことに気づかされた。いつも大勢で集まり、賑やかに過ごすことが多いのだけれど、突然、ごく自然に、仲間たちからも離れて過ごすことになった。大勢で集まったのが、都会のど真ん中に位置しながら、海に近いエリアに建つホテルであったことも、二人だけで過ごす時間を後押ししてくれる。

幸運にも、緑の溢れた大きな公園や、そればかりか高速道路を疾走する紅いテールライトを眺めることのできる、絶景の部屋を押さえることができた。思いがけず、せっかくの大パノラマを手に入れることができたからと、どちらの思いつきというわけでもなかったが、かなり上出来の、ほのぼのと温もりに溢れた印象の晩餐もオーダーできた。

やがて、雨が窓ガラスを叩き続ける音が心地良く聞こえる。ただ、会話に集中している二人には、叩き続けるリズムも、部屋に用意されていたメニューから選んだだけの晩餐も、盛り上げてくれる小道具として充分だった。フッと、二人だけで出かけたジュネーブでの日々の記憶が、アルプスに被さった雪の想い出とともに蘇ってくる。

目覚めたときには、雪景色は消え去り、まだ部屋のなかは薄暗い闇だった。サイドテーブルの上から、手探りで探し出した愛機のレバーをスライドさせると、小さなハンマーが、細いリングを叩き、聞き慣れた優しい音色が、正確な時刻を教えてくれる。

二人だけで共有できる時間が、とても嬉しかった。二人だけで過ごせたことも、仲間たちに感謝しなければいけない。細やかなキッカケを大きな糧として身につけ、ときにはコツコツと、また、あるときは大きなステップで颯爽と歩みを進めていきたい。二人だけで過ごした夜がスタートラインとなり、ステップもリズミカルに躍動できれば、フランク ミュラーらしさに溢れたトノウ カーベックスも、微笑んでくれるはずである。

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トノウ カーベックス

トノウ カーベックスは、ケースを構成するパーツまで、全体のフォルムに合わせ、緻密に、繊細に仕上げる必要がある。だから、バランス感覚に優れたペアウォッチが誕生。

トノウ カーベックスが、ここまで注目されるのは、フランク ミュラー自身が創作した腕時計ケースであることはもちろんです。独自の3次元曲線による、3本の曲線の完璧なバランスが生み出す、時を経ても斬新さを失わない、ケース全体の魅力的なシェイプも、注目され続ける大切な要素です。しかも、この魅力的なケースを構成している、文字盤、裏蓋、針、サファイアガラスまでも、ケース全体のフォルムとバランスに合わせ、正確に仕上げる必要があり、そのため、極めて緻密な工作技術が要求されるのです。ここまで徹底した美しさを際立たせることができるのは、フランク ミュラー ウォッチランドならではの卓抜した技術のおかげであることを忘れるわけにはいきません。

FRANCK MULLER Story
“複雑な機構を創造しながら、時の支配から解放する“時の哲学”。
FRANCK MULLER Story 01
ミニッツリピーター

ミニッツリピーター

ポケットウォッチ/懐中時計の時代には、幾つかの超複雑な機構が考案されました。この超複雑な機構を小さな腕時計に搭載するという思いきったコンセプトを打ち出したのが、フランク ミュラーです。彼は、グランドコンプリケーションと呼ばれる、ミニッツリピーター、トゥールビヨン、そして、パーペチュアルカレンダーといった超複雑機構を搭載した腕時計、あるいは、これらの機構を複数搭載したモデルを完成させ、世界の愛好家を驚かせたのです。

FRANCK MULLER Story 02

フランク ミュラーは、誰も達成できなかった超複雑な機構を搭載した腕時計を発表して以来、すでに50ピースを越える、超複雑機構に関する新案特許を取得しています。しかも、彼は、この超複雑な機構を搭載した腕時計をただ発想しただけにとどまらず、完璧な製品として完成させているのです。そのためには、ポケットウォッチ/懐中時計の時代、さらには、それ以前の時計技術にまで精通し、理解し、どうすれば今の時代の腕時計として魅力的な存在となり得るかまで考察しているのです。

時刻を音に変換して知らせることのできる、ミニッツリピーターという機構があります。グランドコンプリケーションのなかでも、音を鳴らすことで時刻を知らせるという音響的な素養まで求められ、もっとも複雑で緻密な、高い技術力を要求される機構。フランク ミュラーは、初期の腕時計からミニッツリピーターを搭載し、複数の超複雑機構と組み合わせた意欲的なモデルを発表しています。

ミニッツリピーターは、腕に装着しているオーナーが、時刻を知りたいと思ったとき、ケース側面のスライドレバーを動かします。すると、1時間、15分、1分という単位に時刻を分割し、それぞれの単位に合わせ、それぞれ異なる音色を打ち鳴らし、時刻を知らせてくれます。機構としては、ケース側面のスライドレバーを動かすと、腕時計内部に内蔵されている2本の小さなハンマーが、ケースとムーブメントの間にある、ごく狭い空間に収められた細いリングを叩き、時刻に合わせたチャイムを鳴らします。この連続するチャイムの音色を聞き分けることで、現在の時刻を分単位で知ることができます。フランク ミュラーは、ミニッツリピーターを着用するオーナーの使い勝手を考え、誤操作によってメカニズムが損傷することを防ぐためのセーフティシステムで特許を取得しています。

まだまだ、照明器具などが普及する以前、また、蓄光塗料や蛍光塗料など、発光する素材が開発されていなかった時代に、暗闇などで時刻を知ることができるよう考えられたのが、ミニッツリピーター。もちろん、ポケットウォッチをポケットや懐から出さなくても時刻を知ることができます。

FRANCK MULLER Story 03

ミニッツリピーターの起源は、17世紀末まで遡り、その頃は、ハンマーがケースの内側を打ち、ポケットウォッチに触れた指が振動を感じ、時刻を知る機構だったと聞きます。やがて、鐘を打ち鳴らす機構が登場し、時刻を細かく知らせるために異なる音色を組み合わせました。多くの市民のために鳴り響く時計塔の鐘の音を、たった1人のオーナーのために小さな腕時計に収め、鳴らすことができるように進化していったのです。

時刻を音で知らせる超複雑な機構は、照明の発達した現代では、必要ないかもしれません。それでも、後世に継承していくための希少な超複雑機構であり、フランク ミュラー ウォッチランドでは、現代のグランドコンプリケーションのひとつとして、美しい音色を奏でるという遊び心にも溢れた、ミニッツリピーター モデルを手掛け続けています。

つねに複雑な機構を創造し、追求するフランク ミュラーですが、同時に、超複雑な機構を手掛けることで、時の支配から解放するための“時の哲学”をも提案しているのです。

FRANCK MULLER Story 04

(さらに、次回へ続きます)

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