クロノグラフ
カラードリーム

島で過ごすことのできた時間は、緩やかに、ゆったりと動いていた。おかげで、この少しだけ離れた島へ飛び、贅沢な時間とともに堪能するランチは、想像を遙かに超えたものとなった。海を見下ろす、斜面の中腹にある店の設えにも感心した。そればかりか、清々しい空気が、テーブルの周囲を静かに流れていた。

周囲の海から採れるという食材にも、驚かされた。しかも、オーナーシェフの腕前にも圧倒され、人柄にも感心させられてしまった。どこで磨き上げたのか、気になるところではあるが、ここが、海に囲まれた島であることを忘れてしまうほどだ。丁寧に計画した結果とはいえ、ひとっ飛びのランチは、大成功であった。

気圧配置が安定しているおかげか、視界も良好である。帰りも、気持ちのよいフライトとなっている。現在のポジションや残りの距離から判断すると、1時間ほどで帰着できるはずだ。見慣れた地形が視認できるのも、もう少しだ。隣りの彼女も、とてもリラックスしている様子で、シートに身体を預けている。

無事、ランディングを終え、見慣れた格納庫前のスポットへ。もちろん、島で出会った素晴らしいランチ、そして、腕を振るってくれたオーナーシェフなど、記憶は鮮明に蘇ってくる。最後に、ログブックを開きながら、島へ向かうとき、島から帰ってくるとき、それぞれの気象状況や時刻など、まる1日を振り返る。

やはり、メカニズムが好きな二人なので、航空機の計器のように、視認性を意識した文字盤など、機能的な魅力も備えているクロノグラフをペアで揃える。

クロノグラフ
クロノグラフ
クロノグラフ

パイロットが好んで装着する腕時計は、クロノグラフ機構を備えたモデルであると言われる。実際、航空機の速度や所要時間を計測するために、腕に装着したクロノグラフ機構を活用し、計測した時代もあったという。だから、計測するための精緻な機構を装備したクロノグラフは、文字盤やケースのデザインも精緻なものとなり、この計器類のようなデザインが、メカニカル好きに好まれる。

クロノグラフ機構は、プッシュボタンを操作し、経過する時間を測定するための機構である。つまり、自分自身で操作し、使いこなさなければならない。

また、機械式腕時計のなかでも、時刻を表示する機能と同時に計測する機能にも重きを置いたクロノグラフ機構は、設計の難易度も高く、製作にも高度な技術力を必要とする。そのため、クロノグラフをラインアップするということは、それぞれの時計メーカーの技術レベルを象徴するものであり、実力の証でもある。

世界初の機構を数多く発表してきたフランク ミュラーも、彼自身の解釈によるクロノグラフ機構を数多く開発。しかも、現代の天才時計師が手掛けるクロノグラフ機構を搭載した腕時計は、精緻なメカニズムと卓越した美意識により、遊び心をもプラスした『時の哲学』を感じさせ、独特の輝きすら放っている。

Special Thanks : Japan Aviation Academy

FRANCK MULLER Story “時の哲学”を授かった背景には、まず、閃きがあり、究極の技と叡知がある。
腕時計づくりの王国、『フランク ミュラー ウォッチランド』。
FRANCK MULLER Story 01

フランク ミュラーのすべての腕時計を製造している『フランク ミュラー ウォッチランド』は、スイスのジュネーブ市街地からほど近い、ジャントゥという長閑な地区にあります。ここでは、フランク ミュラー独自の腕時計づくりのコンセプトを実現するため、基本的な設計、デザインの熟成、ムーブメントの製作などはもちろんですが、極めて高度な複雑時計の組み立てから、アーティスティックな貴金属の細工まで、腕時計製造に関連するすべての工程を行っています。

腕時計の業界では、21世紀に入ると、自社一貫生産体制、つまりマニュファクチュール体制を確立する動きが盛んになりました。もちろん、『フランク ミュラー ウォッチランド』でも、いちはやく自社グループ内での生産体制の確立に取り組んでいたことが、世界初はもちろん、世界でもいちばん複雑な機構を毎年のように発表するための技術力として結実し、一級のマニュファクチュールとしてフランク ミュラーの発展を支える原動力となったのは間違いありません。

「最先端の技術にも取り組んでいますが、それ以上に、伝統的な技術を完全にマスターしているのが、『フランク ミュラー ウォッチランド』なのです」

フランク ミュラーが語っているように、『フランク ミュラー ウォッチランド』での工程は、大部分がコンピュータや最先端のテクノロジーによる電子機器を駆使しています。ムーブメントは、モニターに映し出して設計し、ケースの成型や加工も、特殊なものを除けば、ほとんど専用の電子機器を使用しています。その一方で、最終的なパーツの仕上げや各工程での品質チェック、ムーブメントの組み上げなどは、すべて熟練の技術者が、一つひとつ手作業で行っています。

『フランク ミュラー ウォッチランド』では、特殊なパーツを製作するために、18世紀の時計職人が使用していた古典的な道具や工作機械を使用することもあります。最先端のテクノロジーを採り入れながらも、そこに頼りすぎることなく、熟練した職人の技術をも活用する腕時計づくりの姿勢は、伝統的な職人技、美意識を絶やすことなく、積極的に未来へ伝承していくことを意識した、決して忘れてはいけないスイスの時計文化そのものではないだろうか。

振り返ってみれば、フランク ミュラーが創出してきた斬新な作品群の背景には、デザイン面から眺めても、また、メカニズム的にも、伝統に向き合い、先人たちが磨き上げた技から見いだし、さらに、現代的な解釈を施してきたという真摯な姿勢とプロセスがありました。

「先人たちによる伝統を踏襲せずして、時計史を揺るがすような革新は存在しない」

『フランク ミュラー ウォッチランド』から生み出される腕時計そのもの、そして、腕時計を製造する現場にも、そんな姿勢が脈々と息づいているのです。腕時計製作のノウハウを未来へ向け存続させるためには、多くの手工芸が必要なのです。そのすべてをマスターすることによって、また、高級時計/オート オロロジェリという正統な称号を得ることができます。

フランク ミュラーは、2022年、ブランドを創設して30周年を迎えます。もちろん、この30年間という輝かしい実績の背景には、『フランク ミュラー ウォッチランド』があり、そこで活動する時計師など、大勢のスタッフがいます。ときには、敢えて進歩的な提案をし、時計業界に刺激を与えることもありましたが、つねに伝統には敬意を払ってきました。このことこそが、マニュファクチュールとしての『フランク ミュラー ウォッチランド』の真実です。

FRANCK MULLER Story 02
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