VANGUARD
In the Stream of Style 息子の成長を妻と見守りながら、“時の先駆者”とともに語りかける。
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昨日の雪は、ほとんど消えてしまった。今朝は、予報どおりの見事な晴天である。ガラス越しに陽射しが降り注いでいるので、海抜1200メートルの高原であることを忘れさせてくれる。溢れるほどの光を眺めていたので、朝食は、濃いめのミルクティーとトーストを組み合わせた。

窓越しに仰ぎ見る、空の青さに驚きながら、今日の予定を考えてみる。まずは、完全なる防寒装備で、出かける準備だ。少し前までは、薄手のジャケットでも、カラダを動かせば汗ばむほどであった。それなのに、アッという間に、羽毛の詰まったジャケットが必要な季節となってしまった。

まず、忘れてはいけないのは、愛車への給油である。寒冷地仕様の軽油を、フルに継ぎ足しておきたい。その後は、今晩の集まりのために、食事とバーの予約を兼ね、近場のホテルでの昼食である。小さなホテルだが、オーナーもシェフも、バーテンまでもが、旧友のような付き合いだ。

高原の週末住宅までやってくる道すがらには、蒲萄栽培が盛んな地域が広がっている。しかも、週末になり、都会から高原地帯を目指して移動してくる人たちのなかには、味にうるさい人たちが多い。嬉しいことに、ワインのレベルはもちろん、食事のレベルも格段に高くなった。ただし、予約は必須である。とくに、馴染みの小さなホテルは、評判が良いからだ。

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妻と私はもちろん、息子も愛用しているのは、いろいろな用途に合わせることのできる、多彩なヴァンガードである。

伝統的な技術を大切にしながらも、革新を追い求め続けているフランク ミュラー ウォッチランドが手掛けた先進のモデル。美しく前衛的なスタイルと最新鋭のテクノロジーを備え、今後もトレンドをリードしていくことは間違いない。

ヴァンガードとは、“時の先駆者”を意味する。だから、「人生における時とは、道標のない大海原を航海するようなものである。だから、自由な気持ちと、自らの意志を優先して欲しい」、というフランク ミュラーの言葉を実践するため、文字盤の外周に沿って細かくコンパス方位が刻んである。

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FRANCK MULLER Story
トノウ カーベックスとビザン数字も、ブランド構築の背中を押した。
FRANCK MULLER Story 01

いよいよ、未知のミッションに挑むことを決意したフランク ミュラーです。それは、自分自身の名前を冠した、自らのブランドを構築し、量産モデルをコレクションとして揃えていくことです。愛用してくださる方々は、特別な愛好家とか、マニアックなコレクターではありません。斬新なケースのカタチとか、印象深い文字盤の数字など、これまでの腕時計には存在しなかった、フランク ミュラーだけが手掛けた独自の世界に注目し、待ち望んでいる、腕時計が好きな一般の人たちです。

もちろん、斬新なケースとはトノウ カーベックスであり、印象深い数字とはビザン数字のことです。フランク ミュラーならではの世界が、いかにして誕生したのか。改めて、自身に語ってもらいましょう。

「1986年にイタリアのビチェンツァで開催された見本市に、オリジナルデザインの腕時計を出品し、おおいに注目を集めました。フランク ミュラーの熱烈な愛好家でもある、イタリア人実業家の奥さまが注文されたものです。彼女から、あなたが製作する複雑機構は素晴らしいけれど、古めかしい丸形ケースばかりなので、あなた自身が手掛けた、すべてオリジナル デザインの腕時計が欲しい、と言われたのです」

彼女の言葉が、フランク ミュラーの創作意欲を刺激しました。痛いところを突かれたと感じ、期待に応えるため、かなり奮闘したようです。しかし、おかげで、世界の時計界を驚かす逸品が登場するのです。

「ビチェンツァの見本市に出品したのは、1本だけ製作したトノウ カーベックスです。依頼主である愛好家の奥さまには、とても喜ばれました。正式名称は、CINTRÉES CURVEX/サントレ カーベックスと言います。すべてのケース側面を3D曲面で構成していますが、私が発想したオリジナルです。量産するつもりはなかったのですが、問い合わせが多かったことも事実です。だから、ブランドを始めるとき、コレクションに加えました」

実は、1本だけ製作したトノウ カーベックスには、もう1点、斬新な試みがプラスされていました。文字盤に彩りを添えた、ビザン数字です。

「時刻を読み取るための、視認性を考えたのです。年齢を重ねると、人によっては、次第に時刻表示が読み取りにくくなることもあります。数字を大きくしてみようと考えたのですが、単純に、既存の数字を拡大していくと、ひとつひとつの数字は読み取りやすくなりますが、文字盤全体のバランスからも、数字のデザインも考え直す必要があると感じました」

フランク ミュラーらしく、スタイリッシュにアレンジした数字をデザインしたのです。発想の原点は、1900年代初期にあったアラビア数字です。

「アレンジする、と言うのは簡単なのですが、数字のデザインは難しいんです。プロポーションやバランスが微妙で、しかも、それを限られたサイズの文字盤上にレイアウトするのは、かなり骨の折れる仕事でした」

数字を大きくしていくと、ある時刻を針が指し示すとき、見た目でも、その数字にピタリと合っているようにするには、数字の位置決めがとても微妙です。数字の位置も微妙に調整し、位置決めをしなければいけません。

「たとえば、ギリシャ神殿の円柱などもそうですね。見た目で同じ太さの円柱であると感じさせるため、上に行くほど太くし、視覚状のトリックを使っています。ビザン数字も、同様のテクニックを駆使しているのです」

フランク ミュラーは、なぜ、現代の天才時計師と讃えられるのか。もちろん、数々の複雑な機構を発想していますが、時を魅力的に表現するための感性も備えているのです。それこそが、“時の哲学”という、時を知り尽くし、時を遊ぶことのできる、フランク ミュラー独自の境地でもあります。

FRANCK MULLER Story 02
CINTREE CURVEX